出演者インタビュー 最後は
大野雄一役 宗田唱さん
抽象的・感覚的なものを、分かりやすく言語化するのが上手な方で、
演出家の通訳的存在(?)としても頼りにされています。
─ 役者になったきっかけは?これまでどんな作品に出演されましたか?
実は小中高大と、テニス少年でした。
役者はやってみたいな、と思っていたものの、基本的に受け身なタイプで、
自ら新しいことに飛び込むより、ずーっとやってきたテニスを続ける方を
選んでしまって。
大学でテニス部を引退するのと同じ時期に、たまたま後輩が演劇に誘ってくれて、
それ以来、舞台との縁が続いています。
役者になっても、やっぱり受け身なんですけど、いただくオファーは何故か
自分に取って身になるものが多いです。
そういう運の強さはあるのかもしれません。
ストレートに、コントに、時代物に、ファンタジーに、選びません、雑食です。
演じられれば何であろうが大満足です。
─ 作品と自分を重ねて感じたことはありますか?
雄一の設定が「これは僕のことじゃないか?」っていうぐらい、共通点が多いんです。
もう、挙げるとネタバレになっちゃうくらい多い。
気持ちの動きなんかも、演出の意図を汲みやすくて、素の自分に近く演じられるので、
雄一の憎まれ口のセリフなんかも、自然で言いやすいです。
─ リーディングをやってみていかがでしょう?
実際にやるまでは、リーディングを甘くみてた部分がありました。
「本読んでいいの?」って。
やってみれば、本の有る無しは、まったく関係ない。
セリフを覚える普通の演劇と、同じなんです。
むしろ、相手との物理的距離や、精神的距離なんかも、セリフだけで
表現しなきゃならないので、より繊細さが求められます。
普段の演劇はもっと雑でいい、っていう意味とはもちろん違いますよ(笑)
リーディングは、情報量が限られる分、ごまかしが効かないってことです。
ああ、いや、動く事でごまかしてるってことでもなく!
あと単純に、セリフの噛みに対するプレッシャーがより強いです。
読んでるくせにというのも理由の1つですが、お客さんが聴くことに
集中している分、役者がセリフを噛むと、
それもクローズアップされてしまうだろうなと思うので。
─ 家族にまつわるエピソードを聞かせてください。
僕は大学進学と同時に一人暮らしを始め、そのまま社会人になりました。
働き始めて3年経った位かな、いつものように実家に帰ってきて、不意に
「あ、自分はこの家の子供として帰ってきてないな」
って気づいたんです。
もちろん、離れて暮してても家族ではあるんだけど、もう家を出た人間なんだな、と。
うまく言えないけど、なぜかふと感じるようになりました。
今思うと、その頃から家族に対する思いや、接し方が変わったのかなと思います。
─ 最後にひとことお願いします。
「トモの帰り道」は、パパッと読み合わせただけのリーディングではなく、
じっくり作っている作品です。
リーディング表現は、演じる側にとっては難しいけど、そこが面白さでもあって、
そういった発見を、観ている人とも共有したい。
もちろん、リーディングのことを知らなくても楽しめる作品なので、
たくさんの方に作品をみていただきたいです。
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